投資詐欺事件の事例紹介

投資運営会社「フリッチクエスト」の社長らが詐欺の疑いで逮捕されました。

投資詐欺事件フリッチクエスト

みなさんこんにちは。
かさごです。

2023年2月9日に、また投資詐欺のニュースが報じられました。
今回は「フリッチクエスト」という投資コンサル会社が起こした投資詐欺事件です。
報じられたニュースを元に詳しくまとめました。

1 フリッチクエストとは?

正式名称は「フリッチクエスト株式会社」といいます。
2023.02.11.(土)現在、会社のFacebookページが存在しています。
https://www.facebook.com/FRichQuest/

企業理念=「自由と豊かさの探究」
となっており、フリッチとはFree+Richからくる造語だそうです。
クエスト=探究
これらをつなげて「フリッチクエスト」という社名になっているようです。

会社住所を検索するとオフィスビルがヒットします。
電話番号は固定電話ではなく携帯電話が掲載されていました。
事業のカテゴリとしてはコンサルティング会社となっています。
投資コンサルの会社として活動していたようです。

https://frich-quest.com/
ホームページアドレスはこちらでしたが、今現在メンテナンス中となっており確認することはできませんでした。(リンクは外しています)

Facebookへの投稿数は現在確認した段階では少ないです。
これ以上の投稿数があったのかもしれませんが、憶測の域を出ません。
ただ、投稿されている記事の中には、「TBSラジオの番組に代表が出演しました」や「代表がテレビ出演します!」や「週刊誌に記事掲載されました」などが残っており「メディアに出ているすごい人」と印象付ける様なものとなっています。

私の個人的な感想を述べますと「自由と豊かさを追い求めよう!!」というような感じのキャッチフレーズは耳障りもよく、現状に困ったり悩んでいる人は興味を惹かれてしまうかもしれませんね。
私自身も投資詐欺のネットワークビジネスに入会してしまっていた当時に同じ様な文言を聞きました。
今ではそれらのワードを聞くと「怪しい」としか思わなくなりましたが、知識や免疫がないとコロッと行ってしまうかもしれません。

2 どういった投資の話を持ちかけていたのか?

アフリカのセーシェル共和国にある資産運用会社(合同会社)に投資業務を委託しているとして、「必ず儲かる」や「元本保証されている」などと言い投資の話を持ちかけていた。

では、セーシェル共和国とはどういった国なのでしょうか?
セーシェル共和国はアフリカにあるといっても、アフリカから1300km離れたインド洋に浮かぶ115の島からなる「諸島」です。
別名「インド洋の真珠」とも呼ばれており、風景が綺麗で観光産業を主としています。
リゾート地でもあり、タックスヘイブン(租税回避地)の国です。

この「タックスヘイブン」はあらゆる投資詐欺に登場するキーワードの1つです。
実態のない怪しい会社は、このタックスヘイブンの場所にペーパーカンパニーをよく設立するのです。

そして「税金がかからないから、そのまま利益として受け取れる」と伝え「儲かるというイメージ」を作ることができます。

投資の話はどのようなものだったのでしょうか?

最低出資額は一口100万円からという、かなり高額なものだったようです。
出資金の一部はコンサル料としてフリッチクエストが受け取っていたようです。
コンサル料を除いた出資金の3割は為替運用し、残りの7割は国債などの金融商品に投資するとして勧誘していました。
また、月の利回りが4%(年利48%)という高い利率で運用できるとしていたようです。

この異常なほどの高い利回りも投資詐欺に登場する危険なワードです。

私の経験から推察すると、これらの投資の話を持ちかけられた時に、
「投資で得たお金で夢が叶えられますよ」
「やりたいことができるようになりますよ」
「豊かな生活ができるようになりますよ(美味しい食事・旅行など)」
「自分のビジネスができるようになりますよ」
「会社の給料以外にも収入源を作れますよ」
「将来の金銭面での不安が解消できますよ」
などの話が出てきたのではないでしょうか?

自分の人生にモヤモヤしている人は少なからず心をくすぐられてしまうはずです。
掛けるお金が大きければ大きいほど、リターンの金額も大きくなるので、目が眩んでしまうと初手で一気に大金を注ぎ込んでしまうということもあるでしょう。
そうなってしまうと、相手の思う壺です。

3 会員になるとどのようなことがあったのか(手口)?

まず勧誘方法ですが、友人・知人からの紹介があったようです。
(マルチのそれだったかもしれません。紹介料など発生していた?情報をお持ちの方は教えてください)
それ以外には、交流の場で出会った人と仲良くなり「後日改めて詳しく・・・」ということもあるようでした。

お金の流れに関しては、銀行振込とかではなく「現金手渡し」というアナログな方法でした。
口座振込などとしてしまうと、データとして記録が残ってしまうので記録が残らないようにする手口です。
「いつ、どこで(どの銀行で)、だれに(会社に)」などの記録が残らないと、自身で振り返りたい時にも記憶を辿ることは難しいでしょう。

「なぜ記録を残さないようにしているのか?」を考えれば「バレないようにするため」でしかありませんので、ここも疑うべきポイントでした。

先にも書きましたが最低出資額が一口100万円からですので非常に高額です。
まとまったお金を工面するのは大変です。
このフリッチクエストは、資金を工面できない会員には勧誘員が「銀行や消費者金融からの借り方を教えて融資を受けさせていた」というのです。
借りる時の名目を「生活費」や「冠婚葬祭」にすれば借りやすいというアドバイスを添えてです。
ここまでくると相当悪質です。
相手に借金をさせてまで投資を促すのは普通ではありません。
本来投資は借金をしてまでするものではありません。余剰金でするものです。
ですが「儲け話に感情がヒートアップしている状態」では冷静な判断はできなくなってしまっています。

何社からもお金を借り入れて出資金を工面した方もいらっしゃるようですし、1人で1000万円近くの出資をする方もおられたようです。

指示連絡に使われたのは「シグナル」というアプリだそうです。
このアプリはメッセージを消せることが出来るようで、上役から「やりとりを行なったメッセージは消去するように」と伝えられていたようです。
完全な証拠隠滅作業ですよね。
「消さなければならないこと」も疑問を持つべきポイントです。
正しいことをしているのなら「消す必要ははい」はずですし、経過を振り返ったり、過去のやり取りを見返したいと思った時にすぐに見れます。
ですが「消して欲しい」となると話は別です。
なぜ消さなければならないのでしょうか?
「もしかして自分は間違ったことをしているのでは?」「危ない橋を渡っているのでは?」と疑いましょう。
(ハマってしまっているとこれがまたなかなか疑うことが難しいのですが)

そして、この手の話の恒例になっていますが「イベント」もあったようです。
毎月26日に「おもてなし会」という会合が開かれ、一部出資者に現金で配当を手渡ししていたようです。

イベントではお笑い芸人をゲストに呼んだり、購入したクルーズ船で遊興するなど、資金は潤沢である感じや有名人を呼んで信用させるなどがあったようで、いつもの感じだなと思うばかりです。

4 実態はどうだったのか?

会員から集めた出資金のほとんどは運用されることはありませんでした。
わずかなお金だけは暗号資産などへの投資に充てていたようですが、それ以外のお金は
・会員への見せかけ上の配当金割り当て
・国内の無人島の購入
・クルーズ船の購入
・高級外車の購入
・社員の海外旅行
・海外カジノ
などの遊興費に消えていました。
海外カジノも所詮はギャンブルですので遊びです。投資ではありません。

セーシェル共和国にあるとされていた会社も実態のないペーパーカンパニーです。
会社など存在していませんでした。

フリッチクエストが資金を募っていた期間は2016年3月~22年1月までの約6年間です。
見せかけ上の配当金の分配も令和3年(2021年)の12月を最後に滞っていたようで、完全に自転車操業状態に陥っていました。
こちらもこの手の話の付き物なのですが、「数年で資金ショートする」のはお決まりです。

5 今回捕まった人物は?

今回詐欺の疑いで逮捕されたのはフリッチクエストの社長「森野広太(こうた)容疑者(38)」ら男女8人です。
名前が出ているのは森野容疑者だけで、残りの7人については出ていません。

逮捕容疑は21年10月~22年1月ごろ、海外の資産運用会社が分散投資をしているなどと偽り、宮城県の30代男性ら4人から計5680万円を集めてだまし取ったとしている。同課は認否を明らかにしていない。
引用元:https://mainichi.jp/articles/20230209/k00/00m/040/025000c

とされています。
届出が出されて容疑として確定した要件で逮捕したものと思われます。

森野広太容疑者の人物像についてはプロフィールがまとめられているサイトがありましたので、興味のある方は下記リンクを参照ください。外部サイトが開きます。
https://company-president.fandom.com/ja/wiki/%E6%A3%AE%E9%87%8E%E5%BA%83%E5%A4%AA

何がきっかけで、どういう経緯で投資詐欺に手を染めることになったのでしょうか。
自分で手口を学習して始めたのでしょうか・・・誰かに入れ知恵をされて始めたのでしょうか・・・。
そういった経緯が気になるところです。

6 被害者の年齢層や被害額はどのくらいだったのか?

今回のフリッチクエストの被害者の年齢で多いのは若者が中心です。
主に20代〜30代(全体の3分の2程度)とされています。

会員は全国に約3300人で、被害総額は約200億円とされています。
平均出資額は700万円と報道されていてかなり高額であることが伺えます。
(単純計算だと約200億円を約3300人で割ると約600万円ほど)

いずれにせよ若い世代で1000万円近くのお金を自己資金として蓄えていることはかなり稀なケースだと感じますので、多くの若者は借り入れを勧められて資金を作ったのではないでしょうか?
借りたお金が多ければ多いほど借金の返済も大変でつらいものになってしまいます。

7 まとめ

今回の事件の記事を見聞きしていた中で感じたのは、やはりこれも典型的な悪徳マルチでありポンジスキームであったなというところです。
どこかで聞いたことのあるような「いつもと同じ手口」であったことが見えてきました。

ですが難しいのは「いつもと同じ」を知っていないと「初めてのこと」になってしまうということです。
知らないこと、免疫のないことに対しては危険を察知しにくいですし、意志の弱いタイプ(断れないタイプや流されやすいタイプ)の方はフラフラっと行ってしまうことでしょう。

投資詐欺に遭わないための知識や経験をどこで得ることができるのか。
そのあたりも鍵になってきます。

令和4年(2022年)の1月にはフリッチクエストの家宅捜索がありました。
今回の逮捕までにはそれから約1年を経ています。
会員の方々はこの1年間ずっと悔しい思いをしてきでしょうし、これからもこの感情を背負って生きていくことになると思います。

苦い経験をした、痛い思いをした、悔しい思いをした、怒りが湧いてくる。
そのようなグチャグチャになってしまった感情を整理したり、背負ったり。
私自身も詐欺被害を「過去の経験」として気持ちが治るまではある程度の期間が必要でした。
今回被害に遭われた方も、それぞれに思うところがあることでしょう。

もし記事に掲載しても良い情報やお気持ちなどございましたらメールして頂けると幸いです。

下記サイトにも様々なコメントが寄せられています。

ご参考までにどうぞ。(外部リンクが開きます)
https://zensho.tokyo/apps/front/group/show.php?litigation_id=1e614166a1603ee87ce305b8d284ea6cd47aaae1f0057b18fc6bc8748bdd3aea

<※参考にしたニュースサイト>
https://www.sankei.com/article/20230209-XVOK4QF4MVP7DMPK2VEEVW7UYE/
https://www.sankei.com/article/20230209-LU7ITNSH6JIV5E33F5IHMWEROA/
https://news.yahoo.co.jp/articles/cfbedf7c2b4977feb5b13e3e70bb3231d60c148a
https://mainichi.jp/articles/20230209/k00/00m/040/025000c
https://www.asahi.com/articles/ASR293PLTR28UTIL02X.html

※削除されたニュース記事のリンクは解除しています。

8 追記 <その後の進展>

2023年04月18日に新しくニュースが報じられました。

フリッチクエストの代表「森野広太容疑者(38)」を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の仮装)容疑で18日に再逮捕しました。
法人としてのフリッチクエスト自体も同じ容疑で同日に書類送検したとのことです。

今回の逮捕容疑の内容としては、

「2021年10月~22年1月、海外にある資産運用会社への投資名目で顧客178人から計6億8900万円を集めていたが、この会社と貸借契約を結ばせることで同社への貸付金だと名目を仮装した疑い。」

としています。
森野容疑者は容疑を否認しているという話です。

容疑内容の意味の理解に苦しみますが、もう少し言葉を補足してみます。
「海外にある資産運用会社への投資目的でお金を集め、“資産運用会社と貸借契約を結ばせる”ことで“フリッチクエスト社への貸付金”だと名目を仮装した」ということのようです。
(この会社=資産運用会社、同社=フリッチクエスト社と判断しました)

貸借契約とは、この場合会員に対して「投資で儲かったら利息も含めてお金返すから、お金貸してね。」ということです。
貸付金とは、決められた期日に返済してもらう約束で貸したお金のことです。この場合会員がフリッチクエスト社に対してお金を貸したということです。

で、「名目を仮装した」というのがどこに掛かってくるのか、問題です。
「資産運用会社と貸借契約(運用目的の名目)でお金を貸した」ことを「フリッチクエスト社への貸付金という名目(運用目的ではない)」に仮装した。
と、解釈して良いのでしょうか。
(※間違っていたら教えてください)

また、投資運用目的で全国の会員約3300名から投資名目で200億円超えのお金を不正に集めたとして、昨年1月にフリッチクエスト社や関係先19箇所を家宅捜索したそうです。
その結果現金を計5億2500万円を押収することができ、この現金を被害者救済に充てられるよう手続きを進めるとのことです。

参考ニュース記事:https://www.asahi.com/articles/ASR4L44FMR4LUTIL005.html

 

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