第一章・怪しい投資の話

#2 その投資話は家族全員で怪しいと疑ってかかった

お金の学校で学びながら投資ができるよ

弟が話し始めた内容はこんな感じでした。
記憶を遡って書いているので、箇条書きではありますが、およそ覚えている範囲で列記したいと思います。

  • 友達の紹介で投資信託を始めたんだけどさ、毎月毎月利益がでるから他のところで投資をするよりもよっぽどこっちのほうがいいよ。利益率が他の投資信託と比べ物にならないよ。
  • その投資信託を始めるには、まずはお金の学校と呼ばれているところに入会する必要があるよ。
  • お金の学校に入るには、まずは入会金(入学金)が21万円いるのと、その後は年間の更新料に1万円かかるよ。
  • 入会金や更新料だけでみたら高そうにみえるけれども、投資をして利益が出せるから元はすぐに取り返せるし、さらに増えていくから今後の生活が楽になるよ。
  • 入会することで投資だけじゃなくて、お金に関する知識を高めるために定期的に勉強会がひらかれるから、会員はそれに参加して知識を学ぶことができるよ。
  • ネットワークビジネスだから、人を紹介することで自分にも紹介料が入ってくるようになるから、紹介料でもお金もらえるし、投資信託でもお金が増えていくよ。
  • 投資目的でこのネットワークビジネスに入る人もいるけれど、人と人との繋がりを大事にしているところだから、投資はやらずに飲み会やイベントに参加して仲間と楽しみたいから参加している人もいるよ。
  • 上の方になんか投資ですごい人がいて、その人がいるおかげでこの投資信託のシステムを使わせてもらうことができていて、一般には出回ることのないもので特別なところで投資ができるんだよ。
  • 自分も既に投資信託を始めていて、実際に結果が出始めていて、お金が増えていくのを見ていると楽しいよ。複利の力って凄いんだよ。
  • もしこの投資信託を使ってみたいって思ったら、ちゃんとした話がしたいから自分の上の人に一回会ってもらってそこで話を聞いて欲しい。

というような説明を弟から受けました。
話の順番や伝えている内容は当時のことを事細かく覚えているわけではないので少なからず違いはあるかと思いますが、大筋ではこのような内容でした。

今、文章に書き起こすことで改めて読んで見返してみると「絶対に怪しい」ですし、むしろ「これはやってはいけないやつ。」であることに間違いないと感じることでしょう。
明らかに「それは危ないのでやめましょう」と思える文言があちらこちらに散見されます。
特に太字にした所は怪しさマシマシの箇所です。

もちろん、その当時ですら話を聞いた最初は家族全員が怪しいと感じ「なんか危なくないか?」と一様に疑問を感じました。

そんな甘い話があるわけないし、何より怖い。でもお金は増やしたい。

先にも書いた通り、こんなに怪しい話はないです。
絶対にに乗ってはいけないし直ぐにでも断るべきだし弟にも脱会させないといけないようなものです。
ですが、悲しいことに私の家庭には重大な問題がありました。
それは常に「貧しい」「お金がない」「生活が不安だ」という悩みが付き纏っていることでした。もう何十年も。
実際には本当に生活に困らないように、いろいろなところをケチっては預金し、ケチっては預金しを繰り返していたので「数年は大丈夫」の預金はありました。
ですが「使ってはいけないお金」を作ったことにより「使っていいお金」がとても少なくなり、結果として「貧しい」「お金がない」「生活が苦しい」「将来も不安だ」という思考が生まれ、それに囚われて生きているというような状態でした。

ですので、お金に目がくらみます
「もしお金が増えるのならやってみてもいいかもしれない。」
そういった心の隙が生まれるのは難しくありませんでした。
もしお金のある家庭だったら「いや、別にうちはお金あるし。変なことにお金突っ込みたくないし。」って気軽に断ることもできたでしょう。
いや、お金があるとか無いとかで言ったら、無くても断れる人ももちろんいるでしょう。
言うなれば「心の貧しさ」が視野を狭くしてしまうのでしょう。
貧すれば鈍する。
まさに思考が鈍化してしまう代表例ともいえるのではないでしょうか。

そしてさらにそこから弟からの勧誘は続きます。

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