第三章・徐々に複雑化させてわかりづらいシステムへ変わっていった投資信託

#17 入会して数ヶ月後、新システム発動。入出金の手続きが複雑化!?詐欺師の手口。

ネットワークビジネスに入会して専用の投資信託で運用を開始してから数ヶ月が経った頃、システム変更の連絡がありました。
今思えば、それも一つの巧妙な詐欺師の手口だったのでしょう。
システムを複雑化することにより、お金を入金したら出金しにくくするという感じでした。
特にこの変更内容は高齢の方にとっては自分だけではやりづらいような内容で、ネットに詳しい人の方が逆に「自分で分かるからやってしまえる」という感じでした。
ですので、若者が高齢者にやり方を教えるという相談会も開かれていたようです。
私自身も両親などに手解きをするなどしていました。

では実際にそれがどういうものだったのかお話ししていきたいと思います。

投資信託への入金方法が銀行や郵便局からの窓口からではなく、ネットバンキング推奨になりました

まず1つ目の変更点は今までは「代理店に振り込んだお金は、直接海外にあると言われていた投資信託の会社へ送金される」という流れが、「代理店に振り込んだら、一度それが海外の銀行にプールされ、そこからさらに投資信託へ送る」ことになった点です。
この中間に挟まれた銀行(詐欺師が生み出した架空のもの)にも最低限3万円入れておかなかればならないという制約がついていたのと、それがない場合は毎月500円かかるというものでした。

2つ目の変更点は中間に銀行がはさまれたことにより、「そこに入れたお金を使って投資信託の購入をしたり、今まで購入して運用していた分の解約金は一度そこに入ります。」となったことですが、新規で購入した投資信託についても、購入処理が完了した日から半年間は解約ができなくなるという大きな制約がつきました。

3つ目の変更点は、送金するための代理店(これも架空の業者)に一度振り込むという作業に、銀行や郵便局の窓口からの振り込みはやめてくださいというお話しでした。
ネットバンキングからの送金は手数料が安くすむということもありますが、それ以上に「入金の際に銀行員や局員に疑われなくて済むから」という理由も付け加えられていました。
詐欺師側としては「自分達は詐欺じゃない」と言いたいので「疑われることは本意ではない」となります。
そして私たち会員も「(騙されているのですが)騙されている訳じゃないから疑われたくない」という心理が働きます。
そこで結果的にネットバンキングのほうがメリットがあるよね?という話になったのだと考えます。
ネットバンキングは楽天銀行がおすすめされました。
マネーブリッジがあるからあるからお得ですよ?知らなかったでしょ?っていう感じで。
半ば強制的にみんながネットバンキングの口座を作ることになりました。
もちろん私もその一人です。
このような手続きができない高齢者の方にとってはかなりハードルが高かったのではないでしょうか?

4つ目の変更点は送金手数料が2000円から4500円に跳ね上がったことでした。
2000円でもおかしなくらい高いなという感じですが倍以上になりました。
また、毎月の締め日以内に複数回入金した場合は、1回目は4500円で、2回目以降は2000円になるということでした。
とにかく送金手数料が割高に感じられて、頻繁に送金しない方がいいなという感じすらあります。
私はこの金額になってから2回送金してしまいました。

5つ目の変更点は1回の送金は100万円以内にしてほしいという話でした。
それを超えると罰則がありますよとも言われていました。
金額が大きいと詐欺師側が公的機関に怪しまれてしまうので、それを回避するためにとった策なのでしょう。
送金が完了し、中間の銀行に入れてしまったお金を使って投資信託を購入する分には100万円以上でも問題ありませんでした。

と、このように送金に関しての様々な制約が生まれてきました。
すでにこの頃から「怪しい」と世間から認知されはじめていて「なんとかバレないよにしていかなくてはいけない」と変更を加えた結果なのかもしれません。
しかし「運用成績のいい投資信託が使えるメリットがある」と、お金に目が眩んでしまっている私たちはそれを素直に受け入れて、脱会もせず「きっとまだ大丈夫、それなりに信じてていい。」と言い聞かせ続けていたのでした。
マネーブリッジの話にしても「へぇ、そんなのあるんだ」と素直に受け取って感心したものでした。
今でしたらYouTubeにもマネーリテラシーが向上するような情報が上がっているので、簡単にそういう情報に到達できるかもしれませんが、お金に関して無知すぎた私たちは、ささやかな情報でも簡単に「へぇ」と感心してしまったのです。

出金にもいくつかの制約がつきました

投資で運用して出来た利益の出金に関してもいくつかの制約がつきました。
それなりの金額になるまで出金しないように決めてしまっていた私にとってはほとんど無縁な内容でしたが、それでも大きな制約ができたなと感じた条件もありました。

1つ目はこれです。これが一番最大の条件でした。
国際送金が可能なSWIFTコードのある銀行宛でしか出金できません。ということでした。
まずスイフトコードって何ですか?というところから始まります。
このあたりのことも含め、変更点は一応全てセミナーで解説がありましたが、理解できないという方々も当然でてきたようでした。
私自身も最初はよくわかりませんでしたが、とりあえずSWIFTコードを持っている銀行に口座を作ればなんとかなるということだけは分かったので、地元にある銀行で新しく口座を開きました。
これが出来ないだけで、「出金することがめんどくさい」と感じてしまい、とりあえず運用だけしていて引き出すのはまた今度でいいやと思ってしまったり、なんとかして引き出さなければと慌てふためいた方もいたことでしょう。

2つ目は中間の銀行から出金する金額は一度に100万円未満にしてほしいという制約が生まれました。
このルールを作った目的は入金の時と同様で、詐欺師側が公的機関にマークされないようにするためだったのではないでしょうか。
金額が大きすぎると目立ちますので、このお金は何?ということになりやすいはずです。
そういった可能性を減らすためにも、このルールを作ったのだと考えられます。
また、騙して集めたお金を返したくないという目的もあったのかもしれません。

3つ目は、中間の銀行からの出金は2,3日で行えるけれど、手数料は着金銀行によって異なるということでした。
これに関しては詳しい情報が残っておらず詳細を書き記すことができません。

4つ目の変更点は、中間の銀行から購入する投資信託の購入完了までにかかる期間がおよそ1ヶ月。そして解約の完了までにかかる期間もおよそ1ヶ月と、従来に比べ2週間ほど伸びました。
特に解約にかかるまでの期間が1ヶ月というのはさすがに長すぎないか??と疑問に感じました。
詐欺師としてはなるべくお金を引き出させないようにしたくて、解約にかかる期間を1ヶ月にしたのかもしれません。
これまでは入金して1〜2週間後に運用開始されていたのに、解約まで1ヶ月ではバランスがとれません。
怪しまれないように投資信託の購入完了までにかかる期間も1ヶ月に伸ばしてしまえという安易な決定だったのかもしれませんね。

 

今読んでいても、読むだけでめんどくさく感じるような内容の変更点が多々打ち出されてきました。
このシステム変更のタイミングも1つの「怪しむ」べきタイミングでしたし、脱会も考えなければいけない内容でした。
しかし、偽の運用成績ではありましたが、当時は偽だとはそれほど感じずに結果を信用していました。
お金が増えてくれるのなら、このまま続けていたい。」という思いがありました。
先にも書いた通り「お金に目が眩んでしまっている」状態で、冷静な判断力を失っていました。
いくら「半分は信用していて、半分は信用していないから大丈夫。」と言っていたところで、それは全然大丈夫ではありませんでした。
足を突っ込んで運用成績を見て一喜一憂している時点で、8割くらいは信じてしまっていたことでしょう。
「信じていない」は都合のいい言い訳で、それよりも「お金を増やしたい」という欲望が勝っていました。

もし今、あなた自身が怪しい投資に誘われて運用しているならば、システム変更になったタイミングは「怪しむ」ためのポイントになるはずです。

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