第三章・徐々に複雑化させてわかりづらいシステムへ変わっていった投資信託

#16 偽の投資運用成績を信じて一喜一憂するほど滑稽な日常はない。

ネットワークビジネスの投資信託に入会し、投資運用を開始したその日から運用成績が会員専用サイトで閲覧することができるようになりました。
パソコンが苦手な両親でも最低限の確認ができるように、ブラウザにお気に入り登録して「ここ押せばすぐに見られるから」と教えたりして各々チェックしてもらうようにしました。
会社のトップが逮捕され、これが投資詐欺だったと判別されるその日まで、その偽物の運用成績に私たちは一喜一憂していました。
なんと滑稽なことでしょうか?
バカみたいな日常です。
夢の中に生きていた」「いい夢を見ていた」と言い換えることもできるかもしれませんが、終わってみれば塵ひとつとして残っていない荒野になっていました。
そして夢の中で踊っていた私たちを外から見ていた人たちは、きっと呆れていたことでしょう。

私は運用成績を毎月月末にチェックしてプリントアウトしていました

運用を開始したころというのは楽しいものでした。
今日は◯円増えていた。
今日は◯円減ったいた。
と、毎日変わりゆく資産を目にして喜んだり残念がったりして、それでも結果的には増えていっているお金を見ながら「よし、今月もうまくいっている」と思ったものでした。

そして月末になると、その月の運用成績をプリントアウトしてファイリングしていました。
今でも初期の2年間分の運用成績表は手元に残しています。
それ以降の書類はどこにいったのか見当たりません。
捨ててしまったのか、そもそもめんどくさくなってプリントアウトしていなかったのか・・・。
ただ、毎日のルーティンワークとしてパソコンでチェックすることだけはしていました。

母はお風呂上がりにいつもチェックしていました

母も私と同じように毎日チェックを欠かしてはいませんでした。
運用成績が更新されるのは夜の遅い時間でしたので、母はお風呂上がりにパソコンを立ち上げて運用成績をチェックしていました。
チェックが終わると、「今日はちょっとだけ増えていたよ」とか「今日はたくさん増えていたよ」とか「今日はマイナスだった・・・」とか、いつも報告をくれました。
家族間のコミュニケーションを取るには良い話題だったのかもしれません。
母は私より感情を表に出して喜んだり残念がったりしていました。
お金が増えるのを数字で見て感じてしまうと、嬉しくなってしまうのが人の性分ですね。
誰もが少なからずそういうものだと思います。

父は暇な時にパソコンを立ち上げてチェックしていました

父は私たちほど毎日チェックしているという感じではありませんでした。
ちょっと暇のある時に確認してみようかな?という感じでパソコンを立ち上げて見ていたようです。
また、父の友人は最初は運用成績が確認できる端末(パソコンかタブレット)を持っていませんでしたので、父が代わりにパソコンで確認して友人に教えていたようです。
のちに父の友人はタブレット端末を購入し(ネットワークビジネスで知り合った人がタブレット販売の代理店をしていたので、その人から購入)、確認できるようになりました。
タブレット端末の使い方や、運用の確認方法は私がレクチャーしたりしていました。

そのような感じで、私たちは最初から最後まで偽物の運用結果を見て一喜一憂しては詐欺師に踊らされていたのです。

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