第三章・徐々に複雑化させてわかりづらいシステムへ変わっていった投資信託

#23 雲行きが怪しい。ネットワークビジネスに入っているのに、別のネットワークビジネスの入会を進められた話。

これが最終のターニングポイントでした。
ここで辞めないでいつ辞めるの!?
そう問いかけられているようでした。

その心の声は聞こえてはいましたが、私は結局退会することが出来ませんでした。
「もうちょっと。もうちょっとだけ待ちたい。あと1年無事なら元本回収するから。」と心の中で唱えていました。
それが命取りでした。
「ものすごく怪しい!これは危険な匂いがする!今すぐ辞めるべきだ!」と結論づけれたらどんなにかっこよかったことでしょうか。

それでは、このお話を始めたいと思います。

ある日、重要なセミナーがあるというので召集がかかりました

これまでもセミナー開催のお知らせや、イベント開催のお知らせはあったので、いつものようなものかなと思いましたがそうではありませんでした。
何やら重要な話があるようで、基本的に参加してほしいとのことで割と強制力の高い召集がかかりました。
これまでこのような召集は一度もありませんでしたので、これは何か大きな問題が発生したのかな?という不安を覚えながらセミナーに参加しました。

セミナーはいつもの地区ごと・グループごとのようなものでしたが、それでも会場として借りてあった会議室は広めの場所でした。
軽く見積もっても50人くらいは集まっていたでしょうか。いつもよりも多くの方が集まりました。
セミナーとなる講師も上位のアドバイザーが珍しく来ていて、これは何かあるなと感じさせる雰囲気が漂っていました。

そして定刻通りセミナーが開始されました。

まずはいつものように投資の話はするけれども・・・

セミナーとしては恒例の話のようになっているビジネスの話や投資信託の話は冒頭にありました。
冒頭にはありましたが、いつもとは違う流れの話が始まりました。

少々記憶が曖昧なところもありますのでご容赦いただきたいのですが、今後このビジネスがどのくらい持続していけるのかが分からないので、もっとみなさんに協力して頂きたい。勧誘活動を頑張ってもらいたい。というような話や、
投資信託に関しても「最近引き出す方が多くて、全体として運用できる金額が下がって来ているので控えてほしい。」というような話があったかと記憶しています。

なんにせよ、少々不安を煽るような形の話があったのは確かです。
退会者が出て来て焦っているのか、お金を引き出す人が増えてしまい、返すお金が実はなくて焦っているのか・・・どういった真意があってそのような話になったのか経緯は不明ですが、このネットワークビジネスに怪しい風が吹き始めたのは感じ取れました。

今、このネットワークビジネスに入会しているのに、別のネットワークビジネスを勧められた

そしてさらに話は続きます。
今、この投資ができるネットワークビジネスがやりたくて入会している人が多いはずなのに、さらに別のネットワークビジネスを進められました。
それはダチョウの卵から作られた抗体を原料にした化粧品でした。
それもなかなかの金額です。
ダチョウの卵の化粧品でピンと来てしまったあなたはネットワークビジネスに詳しいですね。
そう、アトコントロールです。

ゴリ押しの営業トークが始まりました。
お肌に良い。美肌効果が上がる。化粧品のノリがよくなる。手荒れに効く。などなど。
サンプルも持って来ていて、何人かの方に試してもらっていました。
そして「ぜひ皆さんに入ってもらいたい」と。

なんというか、とても嫌な気分になりました
この営業方法はいったいどうなの?と。
しかもよくよく考えると(今になって思うと)特商法違反にあたりますよね。
マルチ商法は公衆の出入りする場所でのみ営業が認められているはずなのに、このような閉じられた空間で営業活動するなんていけないのではないでしょうか?

さらによくわからない発言が続きます。
「こちらのネットワークビジネスに多くの方に入って頂けないと、投資信託の方も使わせてもらえないようになる可能性があります。」と。
一種の脅しですよね。
そもそも2社間にはなんの関係性もないはずなのに、結びつけて提案されてしまっています。
これは増々怪しいです。この時期にはもうそんなに切羽詰まっている状況だったのでしょうか?

私の弟などはアトコントロールに入会してしまっていました。
他にも素直に入会した方がきっといらっしゃることでしょう。
アトコントロール自体には罪はないですし、商品自体もきっと悪いものではないと思います。
(効果は私はよくわかりませんでした。弟からもらって使ってみましたけど。個人の見解です。)
ですが、この一件で嫌な思い出に変わりました。
そして、アトコントロールに入会した弟ですが、結局この投資が詐欺のネットワークビジネスだったと判明した後も1年くらい無意味に契約を続けていました。
何度も「辞めれいいのに」と促しましたが、めんどくさがってなかなか手続きをしませんでした。
使わずに積まれていったスキンケアジェルの箱は数年間残っていました(少しづつ消費しました。)

ここが最後の退会ポイントでした

この日のセミナーは本当に後味の悪いものでした。
何より、不安を煽られたことも腑に落ちませんでした。
別のネットワークビジネスに入会しなければ、今あるシステムも使わせてもらえなくなるかもしれないなんておかしな話です。やり方が汚いです。

もうこの頃には「投資」だと言って集めたお金がほとんど使い切って無くなっていたのかもしれません。
もしくはかなり少なくなっていて「詐欺」だと明るみに出る一歩手前だったのかもしれません。
ですので、既存のネットワークに別のネットワークビジネスを流すことで、一時的に資金を得ようとしたのかもしれません。(新しくネットワーク(販路)を形成する必要がないので楽)

私はこのタイミングで退会する決断をするべきでした。
ですが、もうちょっとだけこの投資信託を続けたかったのです。
そうすれば元本回収だけして、後は利益分だけで再投資していくことになるから、もし詐欺だとして失敗しても損はしないはず。
そう考えていたのです。

もうちょっとだけ続けたいと思っている状態だったので、「投資信託が使えなくなるかもしれない」という脅しは効果を発揮します。
不安を煽られたので、不安を解消するためにはみんなで新しいネットワークビジネスに入るしかありません。
でも高い!!あと、化粧品なんか私はいらない!!!
ということで入会することはしませんでした。
私の身近なところで入会したのは弟だけでした。
新しいネットワークビジネスに入ることはしないという結論を出したところで、1つの決着がついたのでそこで思考は停止しました。
もう1つ踏み込んで「今のネットワークビジネスもついでに辞める」まで決断できれば最適解でしたのに。
「あとちょっと。あともうちょっとだけ。」
お金に対する欲が自滅への道を歩ませたのです。

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