そしてその時が訪れました。
2015年、夏が終わろうとしている8月末(9月頭だったかもしれないです)。
私が加入していたネットワークビジネスのトップ2人が逮捕され、詐欺事件として報じられました。
テレビのニュースや新聞にも記事として扱われました。
これがいわゆるシンフォニーの詐欺事件です。
(ここまで名前を伏せていたのは、記憶が蘇るのであまりこの名称を出したくなかったからです。)
このようなニュースが流れて動揺しないわけがありません。
世間的には詐欺ということでほぼ確定です。
ですが内部的には少々違っていました。
ネットワークビジネスという性質上「信者」が存在しています。
そして、信者でなくても自分のお金を投資に回しているのだからできれば嘘であってほしいと思ってしまうのが心理です。
逮捕の報道があってからアドバイザーから届いたメールを要約して紹介したいと思います。
メールは全て残っていますが、本人の名誉のため全て掲載することは控えます。
- 2人のことを信じています。私たちも信じて待ちましょう。お金を私的に使うような人ではないはずです。
- 現在出金ができなくなっていますが、上の人たちが必死で対応しているのでお待ちください。投資信託自体は無事です。
- 国税局や警察がメディアを使ったずるい手口で叩いていることに腹が立ちます。
などの、内容が長く書かれていました。
2人を擁護するような内容がメインでした。
その後、2〜3ヶ月の間は事態がどのように動いているのか、そして今どういう状態にあるのかを伝えるメールが定期的に届きました。
とにかく正義は2人にあって、警察や検察・メディア側が敵であるというような印象で、自分達は騙されてなんかいなくて、絶対に大丈夫だという雰囲気でした。
正直なところまったく心に響きませんでしたし、「ものすごい信者だな」と、ある種の気持ち悪ささえ覚えました。
かといって、何か身動きが取れるような状況でもありませんでしたので、ただ待つことしかできませんでした。
事態が動いたのは2015年の11月末です。
11月25日に再逮捕、および起訴が決定しました。起訴が決まったことを受けて「会員は被害届を出していく方が最善」という判断に至ったようです。
これで紛れもなく「投資詐欺」となり、私たちは「投資詐欺の被害者」となりました。
そしてメンバーを誘った側は「投資詐欺の加害者でもある」という生き恥を背負うことになりました。
被害届の提出に関して、アドバイザーから必要書類の連絡や対応等があり、フォローがありました。
12月初旬。警察署に赴き調書を作成し、被害届を提出しました。
被害届を提出するという流れになった中でも、トップの2人を信じて疑わないアドバイザーは「私は被害届は出さないので。」と断固として意思を通していました。
そして、残念なことに私の弟も「被害届を提出しない派」の1人でした。
被害届を出したとしても、被害金額が戻ってくる訳ではなく裁判の判決での罪を重くさせるということにおいて効力があるようです。
2016年は裁判の年でした。
私は一度も傍聴には足を運びませんでしたが、上位のアドバイザーが訪れていてその結果報告をメールで連絡を入れてくれていました。
裁判はなかなか進展せず、何回か開かれました。
最終的な判決が降ったのは2017年の3月17日。
非常に悪質なものであるとして、経営者は懲役14年、資金管理担当者は懲役12年、そして2人に対し計訳14億7千万円の追徴が命じられました。
投資信託そのものが架空のもので、偽物の運用成績を表示させて、それを見ては喜んでいた私たち。
集めた資金を私的に使われていたり。
一部はペーパーカンパニーだったり。
「騙される方がバカ」と言われてしまえば本当にその通りで、浅はかだなと思うより他はなく「愚の骨頂」であると自嘲するしかありません。
逮捕のニュースを受け、日々情報が錯綜し、裁判となり実刑判決が下り。
そういった日々が続く中で「騙された」「お金を失った」という現実が実感と共に突きつけられます。
私の頭の中ではさまざまさ思考が駆け巡りました。
- やっぱり詐欺の方に転んでしまったかという残念な気持ち。
- お金が返ってこないだろうという悔しい気持ち。
- 友達を誘ってしまい、その友達も幾らかのお金を失ったこと対する申し訳なさ。
- 疑っていたのなら最初からやめておけばよかったという自分に対しての不甲斐なさ。
ショックと喪失感に襲われました。
ただ、唯一自分の中での救いは「この金額以上はこの投資信託には入金しない」というルールをきっちりと守ったおかげで、今すぐにでも自分の生活が困るほどのダメージは受けなかったということです。
もしかしたら詐欺かもしれない。そうなった時に困らないように。と、決めておいたのが功を奏しました。
困ったのは母です。
母は欲を出してしまって「もうちょっと、もうちょっと」と後から何回も入金していました。
その分、額が膨れ上がったので、当然ですがそれが一気に損失額に転嫁されました。
突然大きな金額を失ったことに対するショックは計り知れません。
母は私が感じたよりも大きな怒りと悔しさと不甲斐なさに襲われたことでしょう。
投資詐欺にあって得たものは「人生において失敗した選択」を経験したという高い授業料。
そして失ったものは「時間」「お金」「信用」などなど、さまざまです。
もう一つ気をつけないといけないことを思い出したので書きます。
投資詐欺と判明した時、さらに別の詐欺が横行することがあります。
本当に狙ったかのようなタイミングで全く知らないアドレスからメールが届きした。
「お金を取り返せる準備があります」というような内容で、若干あやしい日本語でメールが届きます。
アドレスのリンクが貼られていましたが、もちろんクリックはしませんでした。
全員に届いている訳ではなさそうでしたので、たまたま私のところにそういうタイミングで来てしまっただけなのかもしれませんが、心が不安定な時に「取り返せるんだったら!!」と飛びついてしまうと2重で詐欺被害を被ることになります。
絶対に、クリックしないように!!
そもそも、詐欺に遭わないように身も心も引き締めていただきたく思います。
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