第二章・怪しい投資話に家族全員が手をつけた

#12 ネットワークビジネス(マルチ商法)で耳にするABCって何?

さて、私自身がネットワークビジネスの会員になって、投資信託の運用成績を眺めては一喜一憂をし始めていた頃、私が入会した時に担当になって頂いたアドバイザーの方より、アポイントメントの連絡がありました。
一度お会いして、MLMのビジネスについてのお話を詳しくさせて頂きたいとのことでした。
ネットワークビジネスの営業活動自体にはあまり興味のない私でしたが、形式的に話だけは聞いておかなければいけないのかなとも思い、日時を決めお会いすることにしました。

まずはネットワークビジネスの仕組みについての復習から

当日は喫茶店でお会いしました。
席についてしばらくは世間話をしたり、投資の運用成績の話や弟がネットワークビジネスを頑張っているなどの話をしていました。
数分間談笑した後、本題のネットワークビジネスの仕組みの話へ移っていきました。

入会の契約をする時にも伝えて頂いた「バイナリで下に付く人をピラミッド型に増やしていくとどうなっていくのか」ということについて、おさらいも兼ねて詳しく説明して頂きました。
自分の上にももちろん先に契約を終えている方がついていますが、それはひとまず置いておいて、自分の下に右の列、左の列にそれぞれ1人ずつ計2人をまず紹介して、さらにその2人が紹介者を増やして・・・と増えていくと、一定の人数になると毎月お金が入ってきたり、ボーナスも発生しますというお話でした。
もらえるお金は無限に増え続けるわけではなく、上限も定められていました。

ネットワークビジネスの根幹は口コミです。人から人へ伝えることです。
ビジネス活動をするのならば「人に紹介する」という営業活動が必ず発生します。
紹介者が紹介者を生み、さらにその紹介者が・・・と繋がって行かなければ商品の販売経路が途絶えてしまい、経営も立ち行かなくなるでしょう。
また、私よりも早く契約した人たちも、紹介料欲しさ・ボーナス欲しさで自分の下層に人を増やしていくことに躍起になります。

会話の中で「紹介料が欲しいから」という本音は絶対に伝えてきません。
「あなたが営業活動をすることで、人を増やすことができたら独立できるようになるかもしれません」と、あくまでもあなたのためを思って伝えていますよという建前を置いてきます。
そして、「これはいい商品だ」と少しでも思ってもらえていて、幸せな気持ちになっているのなら、その幸せを周りにいる人たちにもお裾分けしませんか?伝えていきませんか?ということを勧めてきます。
商品を人に伝えるか伝えないかは本来は個人の自由ですが、良心に漬け込んで「良いと思った商品を人に勧めない私はなんて悪い人間なんだろう・・・」と思い込ませるような表現で話してきます。
自然な流れで「じゃあ私も人に勧めてみます」と答えてしまいかねない伝え方をしてきます。
怖いですね。

もし誰かに商品を紹介したいなって思って伝えた場合の話として、伝えた相手もその商品についてもう少し詳しく聞いてみたいなって思ってもらえたら、私と紹介した人とアドバイザーとの3人で一度お会いしてお話をさせて頂くことになりますのでお願いします。
と、お願いされました。
これがいわゆるネットワークビジネスのABCです。

ネットワークビジネスの営業の基本「ABC」って何?

ネットワークビジネスでは「ABC」という名の営業方法をよく耳にします。

A・・・【Adviser】アドバイザーです。商品についてしっかり説明できる人を指します。必ずしも自分の直上ではないです。特商法に関しても知識がないといけません。マルチ商法について法律の部分で押さえておくべきことを知っておかなければなりません。
B・・・【Bridge】ブリッジ=橋渡しをする人です。商品を勧めた本人です。
C・・・【Customer】お客さん(見込み客)です。商品を勧められた人です。

ある日BさんはCさんに対して商品を紹介しました。
そしたらCさんは商品に対して興味を示してくれました。
そこでBさんはCさんに対して、もっと商品やビジネスに詳しいAさんがいるので、会ってみないか?と誘います。
BさんはCさんに「Aさんっていうすごい人がいてね、◯で◯で◯なんだよ!」とワッショイして事前に情報を伝えながら誘います(ティーアップ)。
Cさんが同意の上でBさんはCさんをAさんに会わせます(会食やお茶会)。
(※酷いケースだと同意なしで会わせられることもあるようです。私は遭遇したことありませんが。)

Aさん、Bさん、Cさん同席で会食が始まります。
それぞれの立場としては次のようになります。
Aさんは説明を頑張るマンです。
BさんはAさんの説明の仕方を学んだり、相槌を打ったりなどして場の雰囲気を良くすることを求められます。またAさんが席を立った(わざと)時に、Cさんから途中の感想などを聞いてCさんの心情を聞いておくなどします。後でAさんに報告します。
CさんはAさんから説明を受けます。

このような流れでABCが進められます。

ちなみにBさんはゆくゆくはAさんの立場になり、もしCさんが入会したとしたらBさんの立場になり、Dさん(新しいCさん)が新たに生まれます。

ところで、ものすごいハイテンションでAさんっていうすごい人がいるんだよ!とBさんからあらゆる自慢話を聞かされたCさんは「会ってみたい!」となるものでしょうか?
「なんかうさんくさいな」って感じたりするかもしれませんね。

そう、ABCは全てお芝居で動きます
それぞれの立ち回りが決まっていて、特にAさんとBさんが舞台を作っていきます。
Cさんはそのショーにゲスト出演をしているイメージです。

ネットワークビジネスの勧誘はする気はありませんということでお断りしました

ネットワークビジネスの仕組みやABCについての流れを一通りアドバイザーから聞いた私は、その当時ですらどうしても拭いきれない怪しさが残っていました。

私自身は、「私が投資に興味があって、それを使ってみたいから入会しただけですので、ビジネス自体はやる気がありません。」ということで勧誘活動に関してはしっかりとお断りさせて頂きました。(そう、この時は。後によこしまな気持ちが芽生え数人に話をしてしまうという愚行を働きました。)

その一言を伝えると、アドバイザーの方の表情が少し変わった印象を受けました。
嫌な顔をされたというか、少しイラッとされたというか。
欲しかった反応ではなかったからなのでしょう。

その後どうやって場をもたせたのか思い出せませんが、どことなく気まずい空気感が漂う中、「そろそろお店を出ましょうか」という流れで解散したような気がします。

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